愛は加減を知らない
にゃー、なぁぁああ、ひー、ひゃああ、あん、ひん、んぁ゛っあ゛っ。

じゃらじゃら音がする猫の餌の入った缶を持って、スクアーロが一階の回廊を横切る。
その後をいろいろな声で鳴きながら、何匹もの猫が十字軍の行進よろしく、おとなしくついてゆく。

「スクちゃん! アナタ、えさやりすぎよぉおお!」
「んぁ? だってかわいそーだろ、こんなにひんひん鳴いてるんだからよー。いいじゃねーか、餌やるくらい」
「そうやってアンタったら、いったいここの家の猫どんだけ太らせたら気が済むの!?」
「太ってなんかねぇだろぅがぁ? フツーだろ」

そういいながらざらざらと、猫に餌をやる場所として定められた台所続きの土間に、並んだ皿に餌を注ぎだす。姿を見ていたオカマがその手元を見て、いやぁああと裏返った悲鳴をあげた。

「ちょ、ちょっとスクちゃぁあああん!! そんなにあげちゃったら多すぎよぉおお!」
「多いかぁ?」
「多すぎだっての! ちゃんとはかってやりなさい!」

途中で声が裏返って、野太い男の声になった。
そうなるとちょっと本気に怒ってる証拠で、スクアーロは手にした箱の傾きを戻した。

「どんくらいなんだぁ?」
「ちゃんと箱にどれだけあげればいいのかって書いてあるでしょぉおお!?」
「あれ、ホントだぁ」
「アンタいままでどこ見てたのよぉおおお!!!!」

まったくこの子の脳味噌のネジは抜けすぎていて、どこを締めればいいのかわからないわぁ、とルッスーリアはため息をついた。
もしかしてこの子、この勢いでボスやライガーにも同じようにご飯食べさせたりしてるのかしら。
だったらそれは困るわね! 飼い主としてはよくないわ!
そう思ったルッスーリアも、だがしかし、ザンザスの食欲を制限することが自分に出来るのか、と思えば、それもかなり無理なような気がしてきたのも確かだった。
食欲も性欲も旺盛な我等がボスの、そのグルメな舌を満たすことが出来るのは、今のところこの、銀色の副官しかいないのだ。

「ボスの一日の許容量、残念ながらアタシは知らないし、ねぇ……」

別に知りたいとも思わないけれど。

2010..2.22
ブログコネタ。別にこっちに出さなくてもよかったような気がしないでもない。
ブログ掲載は2009年2月15日
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